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2010.09.11 (土)

「 国益を失わしめる政治家 菅氏、小沢氏の代表選 」

『週刊ダイヤモンド』   2010年9月11日号
新世紀の風をおこす オピニオン縦横無尽 853

民主党代表の座を争う菅直人首相と小沢一郎氏が行った9月1日の共同記者会見は、首相としての「資質のない人」と「資格のない人」の会見だった。

日本の経済も安全保障も真に危機的状況に陥っているなか、民主党政権は無策無為であると断ぜざるをえない。そのうえ、権力闘争に余念がない。

首相は実績を「見せる」ために、遮二無二、パフォーマンスに走っているが、1995年以来の1ドル85円を割る円高に突入した8月初旬以降、なに一つ手を打たず、事態の改善を図らなかった。だが、8月26日に小沢氏が代表選出馬を決めると、首相は一転して活動を開始、8月30日に円高対策を決めた。円高発生からすでに3週間が過ぎていた。

菅、小沢両氏共に、その、権力を追い求めてやまず、日本国全体の利益と安全を置き去りにする姿勢に驚く。首相の無策は、無策を隠そうとするパフォーマンスから逆に透視される。小沢氏の提唱した政策は昨年の衆議院議員選挙時の公約、「マニフェスト2009」をほぼ踏襲したバラまき政策である。菅首相も同様だが、小沢氏のバラまきはさらにその上を行く。どちらが代表になっても、日本経済は浮上しないと結論づけざるを得ない。

外交・安保においては、展望はさらに暗い。小沢氏は、普天間問題について、「米国も沖縄も納得出来る道を探る」とした。菅首相が普天間問題を白紙に戻すことなど不可能だと言えば、小沢氏は白紙に戻すとは言っていないと反論した。小沢氏は言葉のうえでは日米関係重視を掲げたが、実際に氏が今切実に必要な日米安保体制の安定、強化策を実現するとは思えない。

菅首相も同様だ。相変わらず東アジア共同体構想をうたい上げているが、首相は日本が置かれている外交・安保上の立場を理解しえていないのではないか。両氏の外交・安保政策がいかに的はずれかはアジアで進行中の事態の深刻さを見れば明らかだ。

7月23日、ベトナムのハノイでASEAN地域フォーラム(ARF)が開かれ、クリントン米国務長官は、南シナ海における中国の行動を激しく非難した。中国が南シナ海を中国の「核心的利益」(core interests)と定義し、中国の支配権確立に向けて着々と歩を進めていることに、警告したのだ。

中国はこれまで、チベットや台湾は、中国にとっての核心的利益であると規定してきた。決して外国の介入を許さない、断じて中国が支配するという国家意思を表明する言葉が核心的利益である。その核心的利益の対象に、中国は新たに南シナ海を加え、同海域およびそこに浮かぶ西沙諸島と南沙諸島も、チベットや台湾と同じに見なすというのだ。南シナ海に手を出す国々に、究極的には軍事力をもって、南シナ海は中国の領海だと宣言したわけだ。

南シナ海の西沙諸島、南沙諸島の領有権に直接かかわっているのは、ベトナム、台湾、インドネシア、マレーシア、ブルネイである。これら諸国は、中国の専横に怒り狂っている。

クリントン長官の厳しい中国非難は、これらの国々の怒りを背景にしていた。ところが、長官の非難演説直後の7 月26日、米国の中国非難に対抗するかのように、中国海軍が南シナ海で異例の実弾演習を行った。演習に参加したのは、中国の誇る南海、東海、北海の三艦隊すべての主力艦だった。諸国の怒りの火に油を注ぐかのような中国、対して、アジア諸国もさらなる積極外交を展開中だ。米国とベトナムの急接近はその一例だ。

アジアでは軍事力を背景に専横に走る中国対、他のすべてのアジア諸国に米国、韓国、豪州、ニュージーランドを加えた一大協力体制が出来上がりつつある。日本がその協力体制をこそ支えるべきなのは明らかだが、民主党の二人は逆方向を向いている。菅、小沢両氏こそ、国益を失わしめる政治家だ。

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